兄の面目[兄の面目]それは、高3の夏休みだった。 学校の課題の宿題と、受験勉強をしている私を横目で見ながら、 大学最後の夏休み中の兄が私のベットにねっころがって漫画を読む・・・。 ・・・・・・・・。 「お前さあ、勉強好き?」 「うん、結構好きだよ。好きな科目だと面白いし。」 「え?」 ・・・・・・・・。 そのままベットで、ゴヤの「裸のマハ」みたいに寝そべったままのポーズで兄は言う。 「お前さ、受験勉強したって、それがなんの役に立つと思う? 大学じゃあ、殆ど使わない勉強ばっかだよ。」 (兄は厚木に教養課程の分校があって私立大学の理工学部出身だった。 英語が強そうな大学だが、幸いなことに、兄はマーク式シートのおかげで合格したらしい。筆記だったら落ちていたと豪語している。) 「お前さ、受験勉強なんて、何にもならないんだよ、所詮。」 「うん。でもいいの。それが大学はいるための手段だって割り切っているから。」 ・・・・・・・・・・。 「ししぃーって、お兄ちゃんより凄いな。」 かくして、私は、京都の某私立大学に入った。 奇しくも、私の代から教養課程がお山の分校になってしまった・・・・(!!!?) かくして、我ら兄妹は、大学を東西で別々に送ったものの、教養課程をいなかのお山の分校で送らねばならないという似たような境遇をたどったのである。 そして、私も、兄も、自分の母校に子供を入れたいとは、全く思っていないのであった。 ちなみに、兄の行った大学は、お医者さんやお金持ちのご子息が多くて、なんと、学科の中でも兄は自称貧乏から2番目だったらしい。 高卒での課長どまりの父が、2人も子供を下宿させ、2人とも私学に通わせてくれたことを感謝して生きていかねばいけない。 ちなみに、お友達の家に行った時に、ティールームがあって、そこで、普通に(予告もなく行ったのに)ケーキとお紅茶が出されたのに、兄は恐縮したらしい。 あるオタクでは、宿泊した際、お父上お母上の顔を見ることなく、お風呂、トイレと室内を移動できる邸宅だったそうだ。 身分に応じた学校に行かなかった兄の心労は、計り知れない・・・・・。 ジャンル別一覧
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